労働関係法令の知識②労働基準法の労働契約・賃金規定について~キャリアコンサルタント量産計画

労働基準法

法令の中でも労働基準法が一番大事!

直近の改正(2019年4月)で時間外労働の上限規制
年次有給休暇の取得の義務化などが新たに盛り込まれています。
労働基準法は賃金、労働時間などの労働条件の最低基準を定めた法律です。
大原則は日本国憲法ですが、労働基準法はそれに次いで重要な規定が多い法律です

言葉の定義

この法律上での言葉の定義をご紹介します
労働者
賃金を支払われる者。職業の種類は問いません
使用者
事業主や経営者は勿論ですが、事業の労働者に関することについて
事業主のために行為をするすべての者を指します
賃金
労働の対価として使用者が労働者に支払うものすべて

まず前提として

労働基準法の大前提

「労働条件は労働者が人たるに値する生活を営むための必要を満たすべきものでなければならない」(第一条第一項)

「この法律で定められる労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者はこの基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない」(第一条第二項)

「労働条件は、労働者と使用者が対等の立場において決定すべきもの」(労働基準法第二条第一項)

なるほど、、、
もうちょい簡単な言葉でおねがいします

まーつまりは労働者を守る法律だよね
この法律はあくまで最低水準なんだ。
残業についてとか賃金とかいろいろ書かれているけど、
それ以上を目指してよってこと。
あと、どうしても使用者の方が立場が上になりがちだけど、
法律で労働者の権利を守って対等の立場にするよ!ってこと

その他には
・労働者及び使用者は労働協約、就業規則及び労働契約を順守して義務を履行しなければいけない
・使用者は労働者の国籍、信条、社会的身分を理由として、賃金、労働時間、その他の労働条件に付いて差別的な扱いをしてはいけない
・使用者は労働者が女性であることを理由に、賃金について男性と差別的扱いをしてはならない

とあります。

要するに

普段の労使関係において労働者はどうしても使用者より弱い立場になりがちです。それを規制するための法律。
差別は禁止、給料ひくすぎてはいけません、労働者も使用者も法律を守ってね
っということを前提として念押しています

労働契約、労使協定、労働協約、就業規則の違い

労働契約を定めるときに法令違反をしてはいけません
「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする」
と規定されています。

そもそも労働契約とは労働者と使用者が労働に対して
賃金を支払うことを内容にする使用者と労働者の間の契約です。

似たような言葉に労使協定、労働協約、就業規則など労働に当たって様々な取り決めがあります。

労働契約は使用者と労働者個人の別個の契約
労働協約は使用者と労働組合の取り決め
労使協約も使用者と労働組合の取り決めだけど例外的に取り決めを結ぶもの
就業規則は契約より規則だね。服装はこれ着てくださいとか、休憩時間は何時からですとか

優位性は
法律>労働協約>労使協約>就業規則>労働契約

一番は民法や労基法、労働安全衛生法などの法律です。
例えば一日の労働時間は8時間、
時間外労働の割増賃金は2割5分以上などの法律で定められた最低基準が優先です。

まあそりゃそうだよね。
法律に反する契約がOKであれば
法律なんて意味ないもんね

その次に労働協約が来ます。
労働協約は労働契約と労使協定と同じく使用者と労働者の間の契約です。
ですが、異なるのは
労働契約は使用者と労働者の一対一の契約で、
労働協約・労使協定は使用者と労働者組合との間の取り決めです。
一つひとつの詳細は後ほど説明します。

なるほど、、、
そりゃー労働者みんなの意見を合わせた労働組合の規定は
個人の規定より優先だよね。
皆で残業は何時間までって使用者と取り決めしてるのに
1人だけめちゃくちゃ残業させられてたら問題だよね

そして労使協定労働基準法に定められた禁止行為を一定の範囲で例外的に許容することを定めるときに使います。
労働基準法では原則、一日8時間以上の労働は禁止されています。
ですが労使協定により定めてあれば時間外労働も違法行為にはなりません。

なにそれ!?
そんなのあり?

もちろん限度はあるよ!
っていうかちゃんと労使協定で「時間外労働発生しますよ!」
ってことを結んでおかないと残業させられないってこと

労働協約の次に優先されるのが就業規則です。
就業規則とは常時10人以上の労働者を使用する際に作成しなければいけません。
従業員の労働条件や服務規律などが定められています。
使用者は就業規則の内容において労働組合の意見を聞かなければいけません

ここはあくまで「意見を聞く」
なんだね

うん、服装とか規律とか
細かーい所までいちいち契約結んでたらキリないからね。
あと労働組合の意見ばっかりくみ取ってたら会社として
立ち行かないよ。

最後に労働契約です。
労働契約は個人間の契約で、組合と使用者が決めた契約より優先されません。
労働協約や就業規則で一日の労働時間は7時間半と定めるのであれば、
労働契約もそれを守らねばなりません。

労働基準法の労働契約について

前置きが長くなりましたが、そんな使用者と労働者の個人間で交わされる
労働契約は以下の規定を守って制定されなければなりません。

・労働契約は期間の定めのないものを除き、
一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、
3年を超える期間について締結してはならない

例外
①高度の専門的知識、技術、経験を必要とする業務をする労働者
②満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約

これは労働基準法だよね?

うん。
有期雇用者の契約年数の制限だよ。
正社員は特に期限とかないけど、逆にいつ辞めてもいいんだ。
でも有期だと「〇年契約」とかで契約したら、
その期間に辞めるのは契約違反になっちゃう。
20年契約でしか契約しないとかがOKであれば20年も拘束されちゃうんだ。
だから3年にしてるんだよ。もちろん3年たって再度契約するのはOK

派遣の3年ルールとは別物?

うん、それは派遣法って別の法律。
また別の機会で説明するね

その他には

・使用者は労働契約の締結で労働者に対して賃金、労働時間、
 その他の労働条件を明示しなければいけない
 明示された労働条件が事実と相違する場合は労働者は即時に労働契約を解除できる

・使用者は労働契約の不履行について違約金を定めたり、
 損害賠償額を予定する契約をしてはいけない

ってことは遅刻とか無断欠勤したら罰金っていうのは違法なの?

それはまた絶妙に微妙なんだ
労働基準法的にはアウト。
でも原則はノーワークノーペイだから働いて分給料を引くのは問題ない。
微妙なケースなので、法律の専門家の記事に任せましょう。
東洋経済ONLINE

あっでもそんなとこまでは試験にでないよ

・使用者は労働者が業務上負傷・病気になったときに、
 療養のために休業する期間とそのあと30日間解雇してはいけない。
 また、産前産後の女性も規定により休業する期間とそのあと30日間解雇してはいけない。
※ただし、使用者が打ち切り保証を支払う場合や天災などやむを得ない事情で事業が継続できない場合は除く

出産に関してはもっと詳しく法律で決められていることがあるんだ
詳しくは次回書いていくね

・使用者は労働者を解雇する時には少なくとも30日前に予告しなければいけない。
30日前に予告をしない場合、30日分の平均賃金を支払わなければいけない
※ただし、天災などの理由でやむおえず事業が困難になった場合は除く。
また、労働者の責に帰すべき理由(労働者の故意や過失など)であればこの限りではありません。
※平均賃金とは算出した日以前の3か月分の賃金の平均です。

以上、労働契約の取り決めは使用者が労働者を不当に扱えないようにできています。

賃金に関する規定

それでは賃金についての規定を見ていきましょう。

賃金支払いの5原則

・賃金は通貨直接労働者にその全額を支払わなければいけない
・賃金は毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。
※臨時に支払われる賃金や賞与は例外
上記は賃金支払いの5原則と呼ばれています

通過払い、直接払い、全額払い、毎月一回以上、一定期日払い

通貨で直接?
振り込みはダメなの?

いや、もちろん振り込みもOK!
この原則には例外がたくさんあるんだ

・通過払いの原則では現物支給を禁止しています。
 また例外として労働者の同意を得た場合には銀行やそのほかの金融機関への振り込みができます。
 しかし、労働者が希望したとしても本人以外の口座には振り込めません(直接払いの原則)

・法令に別の定めがある場合や労使協定がある場合は、
 賃金の一部を控除して支払うことが出来る(全額払いの原則の例外)

・使用者の責任による休業の場合には、
 休業期間中は平均賃金の60%以上の手当を支払わなければいけない

・出来高払いやそのほかの請負制で使用している労働者については、
 労働時間に応じて一定額の賃金の保証をしなければいけない

・賃金の最低基準は最低賃金法に定める

など。

賃金支払いの5原則は最低でも押さえておきましょう!